ごみ箱(未処理)

日々の観劇の感想、妄想爆発した感想を言語化した掃き溜め。

HELI-XⅡアンモナイトの行く末は~感想まとめ~

※これは、2021年10月頃に書いたものを、今アップしています。


今年一番の衝撃的な作品に出会いました。
コロナ禍ということもあって、本格的な演劇を観に行く機会はぐっと減って、観に行ったのはほぼほぼミュージカル。劇場で観たストレートプレイは多分、今作が今年初。もうすぐ今年も終わるのにね。
でも、そういうのを抜きにしてもインパクトが凄かった。観終わって2回目を観るまでの一週間、ずっと毎日HELI-Xのことばかりを考えているくらいには、ずっと心に残り続けました。
昨今のこの状況で、原作ありき(といったら語弊がありますが)の作品が多いこの状況下では、原作なし+ストレートプレイ+SF要素+重厚なストーリー、のこの作品は少し異質なのかもしれません。私調べなのでなんとも言えませんが。
というわけで(?)、早速各キャラの細かな感想に移りたいと思います。

ネタバレしています。むしろ、ネタバレしかありません。ネタバレをしたくない方はここでバックをお願いします。これ以降は自己責任で。
※これは私の記憶整理を主目的としているので、読みやすさには一切配慮していません。ご了承ください。


・ゼロ/玉城裕規さん
Talk Meetingの時も思いましたが、前髪ありのウルフカットのゼロはかわいい。もともと大きい玉ちゃんさんの目がさらに強調されて、お目々キュルキュルのうるうるでした。


ある意味では、今作がHELI-Xの基点となるお話なのかな、と思います。前作の方はいわゆるエピソード0(ゼロだけに、つまらないですね)という扱いなのかもしれません。キャストの皆さんもそう言っていましたしね。
アガタとカイで揺れるゼロ。パンフレットでも言っていましたが、ゼロには意思の芯となるものがない。すぐに揺れて流されてしまう。今回も、カンザキ大佐の「カイの無念を晴らしたくはないのか」という言葉で螺旋機関に入り、カイの記憶を取り戻したアガタから聞いたカイの裏切りから「この世界を滅茶苦茶にする」ためにオシリス側に付く。


自分の意思で動いているようで、実はそうじゃない。


『カイがそう思っていたから』(みんなが幸せに生きられる世界)
『カイに裏切られたから』(あの時、カイはゼロを捨てた)


それだけなんです。そこに自分の意思はなく、誰かの意見や自分の感情に流されるままに生きてしまうんですね。
でも、ゼロの生い立ちを考えると、一言で意思がない、と無碍にはできない。考える余地もなく、暗殺者として生きていくしかなかったわけだから、自分の意思で立って歩け、という方が酷というもの。だって、ゼロがTRANSしたのも、オシリスの策略とはいえ、力を得るためにTRANSするだろう、という予想通りの行動を取ってしまうほどです。


だから、行動を読まれやすい。というよりかは、そこに本人の意思といえるような意思は介在しないんだろうな、と思います。それもまた悲劇。
ふと、名前の意味を考えてみました。なんでゼロなんだろう、と。
きっと彼には『何もない』状態なんだと思います。何が?と問われると答えには詰まるのですが、あえて言うとすれば、自分、というものがない。自己紹介をして、と言われても多分ね、ゼロは何も答えられない。そういう未熟さが残っている。


前作のブログで、シデンのところで「幼い彼女がまだ足掻いている」と書いていましたが、ゼロはシデン以上に、女性だった時のゼロが消えていない。正確には、ゼロにとってはTRANSで性別が変わったことなんてほんの些事でしかない。根本はまったくかわっていないのだから。
だから、カイの記憶を取り戻したアガタに対して、カイの本心を聞くシーンでは「私」となるし、同じ姿をしているアガタに対して、どうしてもカイを重ねて見てしまう。それに、献身的なアガタの行動にゼロは容易く心が綻んでいってしまう。
本当に浮草のようだな、と思います。


いつか、ゼロが自分が『ゼロ』としての人生を歩んでいけるよう、苦難を支えていってくれる人が現れるよう、願っています。
頑張れ!アガタくん!

 

 

・アガタ・タカヨシ/菊池修司くん
本編にはあんまり関係ないんですが、修ちゃんお顔がきれい!
たまたま幸運にも最前で観劇する機会があったんですが、まーお顔がきれい!とまず思いました。あと、役に入っているときはあんなに真っ直ぐで熱くて、しっかりしているように見えるのに、素に戻った瞬間のあのほんわか空間にしてしまう天然さは本当にかわいい。ずっとそのままでいてほしい。


今回で『アガタ=カイ説』は立証されたようなものですね。身体としては「カイ」ということでしょう、きっと。心じゃなく、身体が覚えている、という感じでしょうか。
でも、アガタ=カイですんなり納得にはならないんですね、これが。絶対に毛利さんも西森さんも、なにか隠しているに違いない、と疑うのは当然でしょう???


というのも、オシリステレパス・マキシマムで全世界のHELI-Xにゼロのタイムのイメージ共有をした時、板の上にいたのはHELI-Xだったわけで、そこに光は当たっていなくてもアガタ(その時はカイだったかな)がいるんですよね。HELI-Xが板の上に移動する時は暗転しているので、もし不必要ならアガタは退場すると思うんです。でも、彼はそこに居た。ということは、何か意味があるのかな?と思うのは自然の流れじゃないですか。誠に勝手な妄想ですが。


だから、アガタも実は……、な展開を期待していたりしますが、別にそういうのがなくてもいいです。アガタはアガタで、あのちょっとウザいぐらいの真っ直ぐさで光を放っていてほしいから。その光でどうか、ゼロを救ってください、道を作ってください。
あと、ゼロも名前の話をしたので、その繋がりで。アガタを感じで当てはめると「亜型」な気もしないかな、と思っています。亜種的なアレです。純正の人間じゃない気もする。でも、全く関係ないかもしれない。でも、「あがた」で検索しても昔の管理職とか田舎とか、そういうのしか出てこないから、意味を込めるとしたらやっぱり「亜型」かな、と思わなくもない。でも、普通に縣(懸)さんっているから、深読みしすぎるのも良くないですね、はい。


今作では、アガタの真っ直ぐさが眩しかった。芯がブレッブレのゼロと対照的にブレが少ないアガタ。でも、ここまで真っ直ぐで嘘がつけないアガタだから、ゼロもアガタを気にかけるようになったのかな、と思います。


だけどね!アガタくんが好青年になるにつれてカイのクズさが際立つから、今後どうカイの株が上がっていくか(上がらないかもしれないけど)が見ものですね!!


最後、「次会うときは、どっちかが死ぬ時だ」っていうゼロの表情、劇中で唯一の笑みだったんですよね。でも全然嬉しそうじゃない。悲しそうに笑うゼロ。それを涙目で見つめて、「次は俺が救う番だ」と決意を新たにするアガタ。


もうさ~~~、この時点でいつか必ずこの2人が戦うって分かるじゃん……。しかも、ゼロの能力ってタイムじゃん?えー絶対にアガタが致命傷を負ったのをタイムで戻して自分が代わりに傷を負うゼロ、っていうところまで想像ついちゃったよ……。
願わくば、今後この2人が笑顔で幸せに生きられるような話が続きますように。

 

オシリス/平野良さん
皆さん大好きヒラリョですね!!私も大好きです!!
劇中はあんなに怖いのに、千穐楽のカテコでは誰よりも明るいの、本当に反則です。涙が全部引っ込むじゃないか笑


まずは、平野良さん自体について。
大好きです、とか言いながら、実際に平野良さんの演技をまじまじと意識して観たのはたぶん今回が初。メサイアでも観ていたんですけど、記憶力が乏しいもので……。


でも、さすがというか、貫禄が違う。声を荒らげずに場を締める、緊迫感を出す、あそこまで感情が動かないのに表情の豊かさを出す、やっていることが全部矛盾しているのに成立する芝居。うわー、と圧倒されました。そして、塩田さんがカテコで言っていたように、うん、あれは怖い。実際のヒラリョはあんな人じゃない、というのは知っていますが、あんな演技をされると怖いです。底が見えない、オシリスという役どころと見事に一致していて、ヒラリョ以上にオシリスがハマる役者は私の知る限りいないんじゃないか、と思うくらいには、圧倒されました。他のヒラリョの演技も観てみたいので、おすすめがあれば教えて下さい。調べた限りでは、「さよならソルシエ」がいいらしいですね、買います。


オシリスは、新キャラとして発表された時に名前を調べてから、絶対にこいつは味方にならない、エジプト神話の冥界の神を冠した人物が日の当たるところで生きるはずがないじゃないか、それにヒラリョだし、ということで、早々に疑ってかかっていました。でもね、最初のCHUのオシリス捜査官の人の良い感じを見て、いや、今回は味方になるか…?と思ったけど普通に予想通りでしたわ。よかったよかった(よかったのか……?)


観劇回数を重ねるごとに、オシリスは真正のサイコパスだな、と思いました。感情の揺れがほとんどないし、言葉の表面しか捉えていない発言が目立つんですよね。例えば、ゼロがオシリスに対して「お前がカイを殺した!」と言うのに対して「私は殺していない」と答えるシーンがあります。いや、言葉尻だけ捉えるとそうだけど、そうじゃないねんて!!と思いましたし、実際ゼロも「お前が殺したようなもんだろ!」と言っているので、ですよね~、という感じでしかないです。


他にも多々こういう『情緒』というものがないシーンが多いオシリスですが、彼のHELI-X能力はテレパスとリザレクションの2つ。どういう経緯で2つを持つようになったのかは明かされてはいないので、今後明かされるのでしょう。ですが、どちらもトラウマに起因する能力だとしたら、オシリスの過去が悲しいものに感じられます。
まずは「テレパス」について。前述したように、オシリスには情緒というものが見受けられません。そういう彼が相手の心を読める能力であったり、洗脳できる「テレパス」という能力を持つ。それが意味することとは。


すべて勝手な妄想です。妄想ですが、HELI-Xの能力はトラウマに起因する、ということはですよ、オシリスの過去には人の心を察することができなくて負った深い傷がある、ということ、になりますよね。
うわー、地獄じゃないですか。そういう過去がありながら、現在のオシリスは情緒がなく感じる。もしかしたらそれは、敢えて素の自分で居るようにしているのかもしれません。ね、哀しいね。
それに、2つ目の能力の「リザレクション」。これもトラウマに起因する、と考えると、過去にオシリスの心に深く残るほどの人物が亡くなった、ということでしょう。
あの、人が死んでも表情が変わらないオシリスの心に残るほどの人物って誰でしょうねぇ、闇が深すぎて楽しいです。オラ、ワクワクしてきたぞ。


ここからはさらなる仮定です。この2つの能力、個別のトラウマかもしれませんが、もしかしたら1つの出来事に由来しているとしたら。
例えば、オシリスが大切に思っていた人物がいたが、オシリスはその人物の心を察することができず、それが切掛けとなってその人物は死んでしまった。とか。
リザレクションの有効範囲がどこまでかは分かりませんが、たぶん自分には行使できない能力でしょう。他人を生き返らせることしかできない、としたら。あのオシリスが、ですよ。自分ではなく他人を生き返らせる能力を得るほどのトラウマを持っている。
ますますオシリスの過去が知りたくなります。


そして、感情を昂ぶらせて喚き散らすオシリスが見たい、人間味のあるオシリスが見たいです。

 

イモータル/杉江大志さん
正直に告白します。
今作で完全に杉江大志に落ちました。推しになりました。ありがとうございます。
なんで杉江くんってあんなにも背後が仄暗い役が似合うのかな!重い過去を背負いながら根っからの明るさを振りまくキャラクターを演らせるとピカイチだと思います。


私がメサイアの亡霊でもあるので、加々美いつきと比較してしまいますが、ちょっとお調子者、軽い奴というのは一緒ですけれど、軽いのジャンルが違う。それだけ杉江くん自身もたくさんの役を演じてきた経験があるのだろうし、軽い・明るいに幅を持たせることができるのは一つの才だと思います。


私は普段、別のシリーズ(TRUMPシリーズ)に生息しているオタクでもあるので、どうしても「不老不死」というもの対して、非常に敏感です。ぜひ、TRUMPシリーズは観ていただきたいのですが、その話はまた別の機会にでも。


不老不死。老いもしないし死にもしない。HELI-Xのような戦闘メインの世界観であれば、それはとても有用な能力でしょう。ですが、裏を返せば「死にたくても死ねない」ということになります。


死を美化するわけではないです。ですが、死は一種の救いだと思っています。
終りがある。限りがある。だからこそ、生命はより輝きを増し、美しく光を放つ。
詩的な表現ですが、そう思うのです。永遠というのは、非常に怖い。終りが見えないということは、解放されないと同義だと思いませんか?


イモータルはずっと縛られている。死」という概念に囚われている。劇中に何度も何度も「死なないんだけどね!」と繰り返すのは、それだけ「不死」というものがイモータルにとって大きな影を落としている証左だと思うんですよね。だからこそ、その反動であんなにも自由なキャラクターとなっている気がします。せめて、自分が表現できる範囲では自由にする。こう考えると、HELI-XⅡで唯一の清涼剤だと思っていたイモータルが一気にしんどくなりますね!楽しい!キャッキャッ


HELI-X内では最高齢、多くの経験をしてきているイモータルだからこそ、軽いながらも後ろでどっしりと構えている安定感がありました。年齢も経験値も上の役者さんを押さえて、「イモータル」だからこそ出せる成熟した軽さ、敢えて出している軽さが見えているのが個人的にすごく好きなポイントです。


イモータル、螺旋機関に入ることにはなりましたけど、今後どういう関係性となっていくんでしょうか。彼のことだから、裏切ることはないと思います。きっと。
オシリスとの決着、そして自分自身の能力との決着がいつか着くのでしょうか。
彼の願いが叶えられ、救われんことを。

 

……ここまで書いてはいたのです。でも、途中で力尽きてしまい、気付いたらHELI-XⅢが始まってました。

Ⅲのブログも上げたいけれど、ということで、供養としてまずはこれを上げます。

いずれ書き足すかもしれない。Ⅲにまとめて書くかもしれない(多分そうなる…)。

また、いずれ。