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日々の観劇の感想、妄想爆発した感想を言語化した掃き溜め。

絶望を経験した人間は強くなるーHELI-X感想雑記ー

とても最高で、楽しい舞台でした。今年観た舞台はどれも最高だったのですが、その中でも今年の観劇納めにふさわしいな、と思っています。

あのねえ、頭がこんがらがる。名前・性別・性転換・所属・能力……情報量多すぎだね笑

1回の観劇ではなかなか処理しきれない情報量だな、って思います。でも、これくらい怒涛の情報量を流し込まれるのも、これまた気持ちがいい。うわー、家に帰ってちゃんと嚥下しようー!って気になる。楽しい。

※ネタバレ満載なので、まだ観ていない方、ネタバレを知りたくない方はご注意ください。ネタバレには一切配慮していません。

※これはメサイアの亡霊が書いているので、ところどころだけではなく全体的にメサイアと絡めた感想になると思います。できるだけ自重はします。

 

 

・西森英行さん、毛利亘宏さんのタッグ、そしてHELI-Xというものへの感想


個人的にですが、西森さんの演出が好きです。それは何もメサイアに限った話ではなく、舞台を観るという点ではとてもストレートで淀みがないし、ストーリーを上手く流す演出で不要に疲れない。

モーニング娘。とも何度かお仕事してた時も、彼女たちへの接し方に愛があったし、舞台幅を全部使うのは好きです。役者さん大変そうだな、って思うけど。

私はこの2人が作り出す雰囲気や空間が好きなので、HELI-Xという完全に新しいものに対しても不安はなかったです。きっと、良いものを、私の感性に合うだろうものを作ってくれるだろう、と妙な確信がありました。

まさにその通りで、第1作だからこその荒削り感、情報詰め込みや怒涛の展開はありますが、それが顕著というほどでもない(はず……)

伏線を尽く撒き散らして回収していく妙は最高でしたね。

うわー、最高、と思ったシーンは、ゼロがCRYの能力によって「正しい記憶」を思い出したシーンと、ゼロの能力で三年前に戻って「正しい記憶」に繋がる前の部分から見たシーンですね。同じ言葉なのに、内包している意味が全く、180度違う。鳥肌が立ちました。実際にカイがどういう思いで言ったのかまでは分かりませんが、ゼロの視点からすれば裏切られた、と取ってもおかしくないです。くそ、上手いな、とオタク特有のキレ芸を心の中でするほど、あー最高、となってシーンです。

彼らの創造する話はどこまでも暗く重いものが付きまといます。それが今作は結構観客に伝わりやすいテーマだからこそ、メサイアの時よりも、よりデリケートで繊細、そして身近なものになっていると思います。でも、絶望だけではありません。必ず希望を残している。向かう先は希望。それがどんなに辛く遠くのものであっても、西森・毛利のタッグは必ずどんな形であれ希望を示しているのが救いです。(誠に勝手ながら夜明けの腐女子と同じスタイルだな、と思ってます。私も夜明けの腐女子の属性だから感性が合うのかも、と思っています。妄想です)

今作は本当に思い切ったテーマに踏み込んだな、と最初は思いましたし、これ、忌避感がある人もいるんじゃないか、人を選ぶ作品になるんじゃないかと思いました。

主なターゲット層が女性、それもたぶん20-40代辺りの客層が多いんじゃなかったかな、と思います。きっと、少なくとも1度は生まれ持った性に対しての嫌悪や絶望…まではいかなくても不甲斐なさを感じたことがあるんじゃないですかね。そこにどう響くか、いろいろな人の感想を聞いてみたいです。

そして、TRANSによって性別を些事としたことで、より性別がくっきりと浮かび上がるのは皮肉だな、と思います。

体の性が変われば心の性も変わるのか、では社会的な性は?肉欲的な性は?
今回はそこまで表現されていなかったけれど、SADNESSやANGER、そしてCRYの救いは何なのか、今後彼らは何を依り代に、何に救いを求めていくのか、と思うとシリーズめっちゃ続いてほしいです。いや、きっと続けるつもりでしょう。

小説もざっと読んで、正直、嫌悪感でゾワっとしたシーンがありました。でも、だからといって忌避することはないですし、それがないと物語として浅くなってしまう。

彼らが言うようにエンターテイメントとしても楽しめ、そして何かを考える材料となる舞台だったと思います。

 

・ゼロ、玉ちゃん(玉城裕規さん)について

おいおい、西森、毛利よぉ。あんたら玉ちゃんにいつもいつも重い運命を背負わせるんじゃねえよ。

と私の中の誰かが言っています。

メサイアの周康哉といいゼロといい……、玉ちゃんは世界に絶望しないといけない役をする運命にあるの???大丈夫???と思いました。

今まで、色々な媒体で玉ちゃんを観てきました。観てきた数ならかなりですが、実際に舞台で観るのは初めてでした。

彼の憑依型の演技、すごく好きです。実際どういう役作りをしているのかは知らないけど、計算された憑依ではなく降臨型というか、感覚で演じている感じがします。彼の演技には違和感がない。どれも玉城裕規だと分かるけれど、同一じゃない。今回のゼロ

そんな感じでした。

今回はすごく難しい役どころだっただろうな、と思います。

ゼロは好き好んでTRANSしたわけじゃなく、彼女の生きる道にはその選択しか残されてなかった。

『力が欲しい』その思いで男性となった。

その時点で、うわーめっちゃしんどい!ってなったのに、終盤でBLOODをアガタに殺された時に、今の性別のゼロの口調ではなく、過去のゼロの口調に戻って生きる意味を問い続ける姿はすごく切なかった。

復讐に囚われて生きてきたのに、その記憶も感情も全て嘘だと言われ、そしてやっと見つけた復讐相手も自分で手に掛けることは叶わず。今回の不幸の煮凝り=ゼロじゃん。
殺すことしかできない、それしか世界に価値のない自分がこの世界を愛おしいと思えるきっかけとなった宝物のカイ。人を愛し、そして愛される喜びを知って、幸せを知ったからこそ、その後の世界が以前よりも絶望の色に染まってしまう。なんと残酷なことか。

作中にはアンドロギュヌスという単語、そして『失った半身を求める』という言葉が出てきます。ゼロは半身を失い、そしてTRANSによって自身をある意味での両性具有のような状態になった。でも彼は完全になったかといえばそうではなく、ずっと何かが欠けているアンバランスさを内包しているんですね。だから非常に危うい。何度か脳裏に周康哉が過ぎっていました。ゼロは幸せになってよ~~~。

最後、アガタのバディとして螺旋機関に加入することになりましたね。これからまた新たなゼロの物語が始まるのか、と思うと、もしかしてこれはHELI-Xエピソード0なのかな、と思ってゾワッと鳥肌が立ちました。たぶん違うけど。

でも、新たな物語の幕開けに立ち会えて幸せです。

 

 

・アガタ タカヨシ、菊池修司くんについて

菊池修司くんは二度目ましてだったかな。

前に見たのがラスール・ミハイロヴィッチ・カレージンだったので、どうしてもあの飄々とした喰えない奴というイメージがありましたが、全然そんなことはない。

菊池くんは上手い。いや、皆さん上手いんですけど、なんていうかな。今回カイとの二役で、ちゃんとカイと声音も表情も、佇まいも全て変えているところに感心しました。

役者だからできて当たり前かもしれないですけど、それでも「生き写し」と言われた部分を残しながらも全く別人を演じる、しかもごく短時間での切り替えは観ていてノンストレスでした。そして、早着替え多くて大変そうだったね。覚えているだけでも3-4回なかった?

アガタは真っ直ぐな青年。正義感が強い青年。だからこそ、たぶん誰かを無意識に傷つけてしまう人間

とても珍しいほどの真っ当な、正直で素直な人物だと思いました。

市民を守るため、という真っ直ぐな理由で大和自治軍に入り、権力・我欲に塗れた内部に現実を知り辞めようとする。なんと素直なのか、と書いていて思いました。

きっとアガタは世間一般的には順調で何不自由なく育ってきたんだろう、という背景を彷彿とさせます。まあ、これはただの予想ですし、なんなら私個人的な予想ではアガタ=カイ説を推していきたい所存なので、品行方正な優等生キャラは後で植え付けられたものだと思っています。根拠?そんなものありません。あるとすれば、アガタのプロフィールを閲覧しようとしたときにウイルスがー、となり詳細が分からなかった、というところですかね。

物語の主人公の一人だというのに、ゼロと比べて詳細なプロフィールが全く見えない、そしてカイと瓜二つの容姿、さらにゼロに対する献身とさえ取れるほどの興味。

きっと裏があるに違いありませんから、続編をお願いします。

まあ余談は置いておきまして。

世間では普通に分類されるアガタが、HELI-X集団の螺旋機関の中では異分子とされるのはおもしろい対比でした。彼らは一癖も二癖もあるし、その中でどう関係をこれから築いていくのか、そしてゼロのバディとして彼とどんな希望を見つけていくのか、今後が楽しみです。

作中ではゼロとアガタで初めてバディという言葉が使われました。それはきっと意味があるんだと思います。それこそ、冒頭でずっと言われていたアンドロギュヌスのように、彼らは二人で一つの完全体なのかもしれないですね。

(二人で一つ、といえば白崎護と悠里淮斗を思い出します……僕たちは二人で一つの壊れやすい卵だ……うっ、頭が……)

 

・CRY、宇野結也さんについて

CRYは謎が深すぎて、どうまとめよう…と悩んでしまいました。

人類初のHELI-Xで、両性具有で、「正しい扉(真実の扉?)」というキーワードを何度も言う。

情報盛り盛りじゃんね。ということで、気になる点をば。
・性別

元の性別はなんだろうね。女性かな、男性かな。どっちでも良いだろうけど、なんとなく気になるし、なんでTRANSしたのかも気になる。

HELI-Xになったから暗殺者に身を落としたのか、そもそもそういう環境で生まれ育ったのか。全然見えないからこそ、興味を引かれます。今後明かされるのかなぁ……。

・感情

どうタイトル付けしようか分からなかったので。CRYの感情についてです。

最初、CRYは無感情な殺戮マシーンのようだと思っていましたが、ゼロとの再邂逅から徐々に感情が振れていく様が見えて、彼(便宜上、彼とします)も人間なんだと感じられました。ゼロを思う姿は大切な人を見るようで、CRYにとってゼロは大切な友人で、もしかしたらそれ以上かもしれないし、そしてゼロが狂気に身を窶していくのは見るに耐えなかったのではないかと思います。

だからこそ、真実を思い起こさせようとしたのかな、と。

彼も人間で、性別も曖昧、HELI-Xだけれども人間で。感情も喜怒哀楽もしっかりとある普通の人間なんだと、なんだか妙に納得しました。

あと、これはCRYだけの話じゃないんだけど、BLACK BLOODの構成員の名前が、CRY、SADNESS、ANGERと感情の名前になっているんだよね。しかも負の感情にまつわるもの。でも、CRYだけ「泣き叫ぶ」という動作の名詞系(たぶん、動詞かもしれないけど)なのにはなにか理由があるのかな、ってちょっと引っかかってる。

 SADNESSは「悲しみ」

 ANGERは「怒り」

この二つだと、感情の他にも七つの大罪にも絡むのかなーって思います。でも、一番有名な七つの大罪だと、悲しみ(悲哀)は怠惰に含まれることになるからどうなんだろう、と思ったりもします。それに「怒り」は「憤怒」でWrathだからANGERじゃないしね。

今後も新キャラとして出てくるのか(リュウジンが新たな名前とかね)、それともこれ以上増えないのか、今考えても仕方がないことですけど、ちょっと気になる部分だから、そこを明かすためにも続編をお願いします。

 

リュウジン、輝馬について

あのね、めちゃくちゃ個人的でどうでもいい話なんですけど、今年観劇した舞台が六本あったんです。そのうちの三作に輝馬がいて(狙ったわけではない)、さらに今年の観劇初めが『カレイドスコープ』で輝馬出演、観劇納めが『HELI-X』で輝馬出演って、すごいね?

それに、地味に去年からずっとそうなのよ。観に行きたいなーと思う舞台には50%の確率で輝馬がいる。最推しの俳優よりも…は言い過ぎかもしれないけれど、たぶん同率で観てるから、もうこれは好きになるほかないなって。ただでさえ輝馬を意識してない時から輝馬を観てきてたことを最近知って、なんならデビューから観てるのを知ってしまい、笑った。

輝馬、好きです。そういう引き合わせがなくても、彼の演技や所作はすとん、と心にジャストフィットする心地よい感覚があって好きです。

リュウジンはね、明るくて姉御だな、って思いました。でも、浮草というか、その場に未練はなさそうで、子どもという守るべき者が無事であればいい、というどことない投げやりな印象も受けます。

リュウジンは螺旋機関を「こんな居心地のいい場所」と言っていました。彼はギャンブルが好きで、元犯罪者で、外の世界では追われる身だし居場所がない。能力も自由に使えない。となると、ある程度の範囲内で自由に暴れられる螺旋機関を『居心地いい』と表現するのもさもありなん、と思います。

でも、物語の最後、彼は新生BLACK BLOODの下にいます。「アタシの命はアンタのもんだ」(一人称やセリフは不確か)と、螺旋機関への未練もないような態度で。リュウジンにとっては別に信念を持って螺旋機関に居たわけではなく、そこが「都合のいい場所」だったから居た、という感じなのかな、と思います。

だから、BLACK BLOODでもHELI-Xとしての自分を受け入れる場所であれば抵抗することなく入る、ということなのかもしれない、と考えてしまいます。

実は螺旋機関に思い入れがあって…というのでも面白いですし、今後のキーマンになりそうな気がします。でも、私の勘が囁くんですよ、多分リュウジンは死ぬって。そんな気がします。

ここからは完全に私のクソデカ感情なんですけど、私メサイアではボスホートの生き様が好きでその中でも最後までボスホートに居たガラにも特別な感情を抱いているフシがあるんですよね、推しはサリュートだけど。黎明ノ刻でガラは「俺にもし子どもができたら」というシーンがあるんです。ガラって絶対に結婚できるタイプじゃないし子どもを抱くガラなんて想像できますか?私はできないんですけど、ほら、オタクって好きなキャラにはとことん甘いじゃないですか。だからガラが結婚して家庭を設ける妄想をしちゃったんですよね。

だから、今回のリュウジンはある意味でのアンサーなのかな、って思ってしまってメタい意味でジーンとしてました。キャストが一緒だからってすべて一緒にしたらいけないね、分かってる。でもね、リュウジンは結婚して子どもがいて、その子はきっとTRANSした後もリュウジンの大切な存在で、その子を守るためのTRANSでもあったのかな、と思ったりもします。

リュウジン、TRANSしても元のスタンスとなんら変わりなさそうなところに、TRANSに対する意味を感じます。「力が欲しい」そのためにTRANSをして旦那を殺した。小説にもありましたが、魂とその器、と解釈すると、正にリュウジンは「器」のみを変えただけ、ということになりますね。その他のキャラが器に合わせて口調やらなんやらが変わっている(であろう)ことに対して、リュウジン(とSADNESS)の変わらなさがまた興味深い。

TRANSに何を求めたのか、と考えるだけで旨い酒が飲めそうです。

私も輝馬同様、リュウジンと酒が飲みたい。

今後のリュウジンが気になるので続編をお願いします。

 

・シデン、後藤大さんについて

たぶん作中屈指のいい人だと思います。

彼の能力は「Psychometry」。ちょっと途中でその設定をど忘れしてたので、勝手に「人の心を読む系かな?」とか思ってました。当たらずも遠からずってところですね。
今後は彼の掘り下げがあるのか見てみたいです。そして、シデンの場合は小説を読まなければ見えてこないものの方が大きい気がします。

どのシーンだったか、螺旋機関のメンツがセット上に座るとき、シデンは両膝を揃えて脚を下ろすんですね。その仕草に、ああ、と言葉では表現し難い感覚がありました。そして小説のシデンの話を読んで腑に落ちました。

年齢はいくつか分からないですけど、やはりシデン「も」器だけ変わったタイプのHELI-Xだなと感じました。彼の中にはまだ彼女だった時の幼いシデンがいて、まだ足掻いている途中なんだろうな、と思います。

シデンはシデンで変わらないのですが、そんな彼が変わろうとするきっかけとなったのが、ワカクサの存在。元々自己同一性が弱かったシデンは、強く生きるワカクサの姿が『同性として』とても強く惹かれたのではないかと思います。愛とか恋ではなく、謂わば憧憬、憧れ

シデンがTRANSした理由は『力が欲しかった』から。そこはリュウジンと変わらない。後述するシュンスイも含め、力を得るために性別を変えるという選択肢しか残されなかったというのは、悲しみを感じます。だからこそ、アガタの「生まれ持った運命を受け入れるべき」という意見はリュウジンに「ガチガチの差別主義者」と言われるほど、強者の思考なんだと改めて感じました。

TRANSしてHELI-Xとなったシデンが、螺旋機関に入って何か生きる希望を得られたのであれば、それに意味はあったと思うのでぜひ、シデンを幸せにするためにも続編をお願いします。

 

・ワカクサ、立道梨緖奈さんについて

めえええっちゃくちゃ美人ですね!?!?!?

お美しすぎます、立道さん。衣装も最高でした。網タイツ。あんなに綺麗に履きこなせていて、ちょっとそこを見ていました。すみません。

拳銃と短剣の戦闘スタイルも、HELI-Xの能力も「Nightmare」なんて、すべてがかっこよすぎる。お姉さんと呼ばせてください。

シデンを作中屈指のいい人、と言いましたが、ワカクサは作中屈指の常識人のような気がします。

気が短そうで口よりも先に手が出そうに見えるけど、一歩引いて周囲の仲間をまとめるお姉さんでした。リュウジンもまとめ役ですが、先述した通り、リュウジンには独特の軽薄さがあるので、芯のある強さはワカクサの一人勝ちだと思っています。

ワカクサの詳細についてはまだほとんど開示されていない状態なので、何とでも書けるし、逆に言えば何も書けない。シデンの小説の話の中で、「結婚して子どもがいた」「子どもを生みたかったからTRANSした」「夫と子どもは死んでいる」という情報はありましたね。

でも、TRANSして幸せそうだったワカクサがどうして螺旋機関にいるのか、TRANSして子どもを欲しがった理由はなにか、と考え出すと、ワカクサの生きてきた道、螺旋機関にいる意味、今後歩む先が気になりすぎるので、ぜひ続編をお願いします。

作中の姉御はリュウジンとワカクサの二人だと勝手に思っているんですけど、姉御の種類が違うのがまた、なんというか、もどかしさがあるんです。

あまり男性的、女性的という言葉を使うのは好きではないんですけど、ワカクサは男性的な雰囲気で自らあまり干渉しない様子で、対するリュウジンは関わりを自ら持って引っ張っていく女性的な雰囲気を感じます。そこも役作りで見えてきたところ、もしくは見せたかった部分なのか、ちょっと気になります。

ワカクサの過去が気になりすぎますし、ワカクサとシデンの関係性の変化も気になります。

 

・シュンスイ、松田昇大くんについて

ビジュアルに関して言えば、もうダントツで好きです。

にへらと笑った顔!細い体躯!ピンク髪!好きになるほかないじゃないですか!

それに、使用武器が拳銃も使いつつ短剣を二つ使っていた場面もあったと思うんですけど、腰に横向きに収めるホルスターみたいなのがあって、それに気付いたときは身悶えました。ああいうタイプの武器というか武具?好きなんですよ。

ちょっと戦闘狂のような雰囲気も感じられて、シュンスイの明るさが救いだったな、と観終わって思います。

シュンスイは元凄腕の料理人とのことで。そういう設定は一切登場しなかったけれど、小説でチラッと料理をするシュンスイの姿がありましたね。彼は本当に料理が好きなんだろうな、と思います。それこそ人を殺すよりも。

自分の力を正当に評価されない世界で、「評価されるために」TRANSしたシュンスイは、リュウジンとシデンとは少し違うけれど、広義での「力を得る」ためのTRANSだったのだな、と思います。

これまたワカクサ同様、過去や詳細が一切公開されていないですけど、シュンスイはどういった経緯で螺旋機関に入ることになったのか、螺旋機関にいる意味は何なのか、と考えると、やっぱり続編が欲しいですね。お願いします。

シュンスイの見せ場(というか、松田昇大くんの見せ場)といえば、そうです、SADNESSと入れ替わるゲームのシーンです。あそこね、実は全然まだよく噛み砕けていないんですよ。漠然とANGERだけが無傷だと分かっているんですけど、誰が?誰を?ともうゴチャゴチャしているので、またよく考えます。

一瞬のキャラの切り替え、そのときにシュンスイからSADNESSの視線に変わるのは素晴らしかったです。本当に妖艶になるんです。中身が入れ替わったようでした。だからこそ、混乱しやすかったのかもしれないですね。

観劇した後、ふとシュンスイはどんな料理をするのかな、と思いました。

そして、その料理を誰かに食べてもらうのかな、とも思ったんです。

そうしたら、螺旋機関のメンバーがアガタの加入をだしに騒ぐ光景が目に浮かんだんです。そこでシュンスイは料理を作って出していて、リュウジンはお酒を飲みながらアガタに絡んでる。シデンはワカクサの近くにいて、ワカクサはアガタに絡むリュウジンに便乗している。

そんな幸せな光景が目に浮かんでしまいました。泣きそうでした。

シュンスイの料理を美味しい、と言って食べてくれる人がいることを切に願います。

 

・ANGER、塩田康平さんについて

ANGERでまず言及したいのが衣装。布たっぷりのスカートが殺陣のときにぶわっと広がるのが観ていてとても綺麗でした。塩田さんは運動神経めちゃ良いの知ってるから、殺陣がすごく綺麗でした。流れるようで、衣装の広がりも計算しているかのような、漫画を見ている気分になりました。本当にANGERの衣装が素敵なので、ぜひそこに注目して観てほしいです。

そして武器。最初はハンマーかと思いましたが、複合型でしたね。ハンマーでもあるし、銃にもなる。そして剣でもある。ある意味、作中最強の武器ですよ、あれ。ああいうところに中二心がくすぐられます。

武器については、さまざまなバリエーションが出たのは新鮮でした。メサイアでは銃か短剣。そりゃあ現代社会を元にしている作品でぶっ飛んだ武器を出すわけにもいかないからそうなりますよね。だから殺陣も銃をメインにした肉弾戦が多かったですが、今作は武器の登場があり、剣を使った殺陣が多く観られて嬉しかったです。ろっぽんさんの殺陣、好きなんですよ。殺陣を存分に堪能できて満足です。

ANGERはSADNESSへの矢印が強すぎて、ANGER自身の意志が見えないのが気になります。能力を使えるということはTRANSしたということでしょうし、塩田さんを起用したということはANGERは現男性なんだろうとは思います。けれど、公式Twitterでもパンフレットでもそこに触れていないのが怖いです。実はTRANSしていなくて能力が使えるとか、実は現女性だとか、実は……の可能性をいろいろ考えてしまいます。気になるので、これはぜひ続編をするしかないですね、よろしくお願いします。

SADNESSに対して複雑な感情を抱き、なんとしてでも守ろうとする姿は守護者なんですよね。守護者…うっ、頭が……(詳しくはTRUMPシリーズを履修してください)

ANGERの行動原理は一切の公表がないので、どうして能力を得たのか、SADNESSを守るのか、これだけでまた一本できますね。そこを知りたいので続編を、シリーズを続けて欲しいです。お願いします。

ANGERのとSADNESSの関係性をもっと考えてみたいものの、一度の観劇では情報量が少なすぎて思考停止してしまうので、配信を観てもっと考えます。でも、出てこないかもしれないし、今後明かされるのを楽しみに待つ方にシフトするかもしれません。

SADNESSが希望を掴むキーマンとなるのがANGERであってほしいですし、ANGERも自身の希望を掴み取ってほしいです。

 

・SADNESS、星元裕月さんについて

びっくりするほどかわいい。

お噂はかねがね聞いておりました、星元裕月さん。でも生で見るとさらにすごい。綺麗でかわいい。SADNESSの苦悩と合わさって、一番心を引き摺られる存在でした。

そしてねえ、衣装がかわいい。ふわふわのパニエが入った修道女っぽい衣装がめちゃくちゃかわいい。ああいう服が似合わない系女子なので、似合う星元裕月さんを見て眼福眼福となっていました。

SADNESSはこの世界に絶望をし続けている。

そんな悲しいことってあるかよ、と思います。それに反抗するように好きな服(なのかな?)で着飾る姿は健気で、でもすごく強い。

HELI-Xの能力は過去のトラウマが発現している、とありました。

一番それを感じられたのがSADNESS。

自分の意志と関係なく男性の体にさせられた苦悩は計り知れません。だからこそ、「他人の体と入れ替わる能力」が発現したのだと思います。自分の器から解放される能力。その能力を使って、多くのTRANSを殺してきた。ある意味での同族殺しをして、性別からの解放も願っていたのかな、と思ってしまいます。

一体、SADNESSをそこまでの行動に駆り立てたのか、過去が気になって仕方がありません。そして、前述のANGERとの関係。TRANSする前からの知り合いなのか、そうではないのか。SADNESSの幸せを願わずにはいられないので、続編をお願いします。

あとね、これは言いたい。SADNESSの武器がなのは大正解です…、ありがとうございます。

鞭をパシンパシンと振るうSADNESSには服従せざるを得ない、見えない絶対感があります。お姫様、いや、女王様のような高貴で気高さが見えて最高でした。

そして。SADNESSという役どころと、星元裕月さんを掛け合わせたこと。正直、星元裕月さんのことはそんなに存じ上げていないので、なんとも深く言及はできませんが、パンフレットの役柄についてのインタビューを読んで、彼は全身全霊でSADNESSの悲しみを表現していることを感じました。その裏に、どんなメッセージがあるのか、どのような思いで演じているのか、そこまで推し量れませんがきっと、何かこの役柄を通して星元さんは伝えてくれているような、そんな気がします。

……とここまで書いて、星元裕月さんが気になりすぎてブログを見てしまいました。

ANGERとの関係について仄めかしたり、明かされるその時まで「考察までにしておいてね」って言われたら、もうめっちゃ気になるしかないじゃん……。

そう思ったこの瞬間から、ANGERとSADNESSのことが明らかになった時のための、観劇当初の記憶の記録としての役割がこのブログに与えられました。

今感じているこの絶望感の中にいるSADNESSに対する感情を、来る時に憶えている自信がないだけです。はい。

SADNESSという名前がいつどのような経緯でついたのか分かりませんが、SADNESSが「悲しみ」から解放される日が来ることを望みます。

 

・カンザキ、久世星佳さんについて

久世星佳さんですよ!キャスト発表があった時びっくりしました。

元々宝塚が好きで、観劇をするようになったのも宝塚からだったので、こうして元トップの方を拝見できるとは思ってもみませんでした。

やはりというべきか、堂々たる風格。

颯爽と背筋を伸ばして歩く姿は正に「大佐」でした。

小説を見てからだと感じ方が変わるな〜、と思います。つまり?舞台のカンザキは最初のカンザキではない、ケンジョウと同期だった男がTRANSしたカンザキということになりますよね。

ねえねえ、ということはさあ、ケンジョウがあんなにカンザキを目の敵にしているのは、もしかしたら同期の男がカンザキになったことに由来しているのかな、と思うと想像していない方向にも地獄が広がっていますね。毛利さんは意味があってあのSketchを書いたのだと思いますし、どのキャラクターにもそれぞれの物語が用意されていると思います。今後の展開が楽しみです。なので、続編をお願いします。

さて、カンザキの能力ですが、そこに関してすごく私の中で疑問が残っています。ただ単に覚えていないだけの部分も大いにあると思うんですけど、それでも、やはり疑問というか今後のHELI-Xの能力に関わることになるのかな、と思います。

カンザキの能力は「未来予知」「そのイメージを描写すること」二つのような気がします。「予知した未来を描写すること」という単一の能力なのかもしれないですけど、もとを辿れば上記の二つの能力が合わさっている、もしくは別個でそれぞれ持っているのかな、と思うと不思議でたまりません。劇中では「未来を予知する」という部分が強調されて、でも能力名は「Painting」で。小説では、元々のカンザキの能力が恐らく「未来予知」で、元男性の執着があるものが「絵を描くこと」。HELI-Xの能力は絶望やトラウマから発現されるもの、とあったので、現カンザキの能力は、元カンザキの能力も得ている、もしくは併せ持っていると考えると、HELI-Xの能力について何か手がかりとなるのかな、と思います。

そして、カンザキはケンジョウに良い感情を抱いていなかったけれど、カンザキが元男性だったときのケンジョウは、カンザキに対してどのような感情を抱いていたのでしょうか。TRANSがきっかけで関係性がこじれたのであれば、それもまた悲劇。

気になりすぎる、カンザキの存在です。

 

・レスター、服部武雄さんについて

メサイア絡みの感想になってしまって申し訳ないんですけど、私はレスターにハザン・リュカを重ねて見てしまいました。後継者になれるかわからない中での後継者への渇望という境遇が似ているな、と。レスターは父であるBLOODに対して「愛してほしかった、認めてほしかった」という望みと、「どうにかしてやりたい」という憎しみがあったのかな、と思います。複雑な心境だったからこそ、BLOODが殺された後、BLACK BLOODを継いだ時も少しも嬉しそうではなく、むしろ悔しそうな表情がとても印象に残っています。

レスターは能力について言及されていましたが、TRANSしたかどうかはまだ何も言われていません。もしかしたらTRANSしたのかもしれないし、元々超能力的に能力を持っていたのかもしれません。もっと深堀りをしてほしいキャラクターの一人ですので、続編をお願いします。

さっきハザン・リュカに似ている、と言ったその口で言うのもアレなんですけど、ゼロに対する態度はスークのようでもあり。もしかしたら作中で一番メサイアみを感じられるのはレスターかもしれません。

話の本ずじとは全く関係ないんですけど、服部武雄さん、はじめましてだと思ってたらまさかまさかのグランギニョルに出てらして。しかもジャック・ブレアで。思わず「ブレアちゃん!?」って別の意味でも驚きました。今回のレスターは一周回ってかわいいです。

 

・ケンジョウ テンマ、笠原紳司さんについて

・ヤサカ カズチカ、北村海さんについて

今回、大和自治軍での登場だったため、あまり過去や行動の理由については明かされませんでしたね。

今作はただそれぞれの敵対というよりも、信念・信条によって裏切りも寝返りも、二重スパイもなんでもありの混沌とした世界なんだと感じました。

その中で、愛国心の強いケンジョウと彼に心酔するヤサカは、アガタとは違う真っ直ぐさで生きています。今後、ユニオンと大和、大和自治軍、螺旋機関、BLACK BLOOD、そこから脱退したHELI-Xたち……もしかしたら今後増えるかもしれない敵対勢力。どんどんと混沌を極めていくのだと思います。その世界の行末を私は見届けたい。

TRANSしていない人間だけが名字と名前があるっぽいですけど、どうなんですかね。

そして、アガタという名前、ケンジョウという名前、ヤサカという名前。

一体何が由来となっているのでしょうか。螺旋機関の面々も、何をモチーフにして名前がつけられたのでしょうか。

もっと考察したらなにか分かるのかなぁ……。

 

・BLOOD、西岡徳馬さんについて

存在感がすごい(二回目)。

とても気味が悪いキャラクターを、とても気味悪く演じているのが素敵でした。

正直ね、女性のゼロを抱き寄せるシーンとか、結構マジにゾワゾワしましたもん。

それに、カイに許しを与えようとしているときの顔の距離。

パンフレットを読んだ後では、「ま、まさか!!」と思いましたが、たぶんそうなんでしょうね……。

綺麗事だけではない、ということをとても分かりやすく具現化したBLOOD。権力ってものは恐ろしいな、と感じさせてくれました。HELI-Xでもない、戦闘能力も恐らく劇中最弱、でも誰も逆らえない。

それは、BLOODが誰もが欲する「力」を持っているから。

うわー、とても皮肉な対比じゃないですか……。よくこんな構図を思いつきましたね、毛利さん。すごいよ。

どんなに科学が発展し特殊能力があっても、結局は一番強い力は「権力」なんだと思い知らされる存在ですね。

BLOODが死亡したことで、見えやすい敵がいなくなりましたが、今後どのような展開になっていくのかを知りたいので、これはもう、続編をするしかないですね。よろしくお願いします。

 

 


長々と書いてまいりました、HELI-Xの感想。

読みやすさとか、分かりやすさとか、そういうのは全部排除して、ただただ私の思考整理用、そして記憶の記録としてのブログになっています。

書き記しておかないと、この瞬間の感想が消えそうで、消えてほしくなくて、観劇して投稿するまでの二日間、空いた時間はすべてを注ぎ込む熱の入れようでした。

でも、HELI-Xは私をそう駆り立てるほどの魅力があります。

多くの人に観てほしいですし、できれば感想を知りたい。お互いの意見交換をしてみたい、と思う小心者の独り言でした。

千秋楽公演はネット配信もあるので、気になる方はぜひ観てみてください!!

www.dmm.com

よろしくお願いします!!!!!